『自閉症のぼくは小説家』 第3回「そして言葉は飛び出した」
内田博仁(うちだ・はくと)
2025.09.01
読み物
内田博仁(うちだ・はくと)
2025.09.01
五十嵐貴久
第十回はこちら交渉人ハイジャック 11回 Flight 11 突入 1 1 原警視、と手を上げた成宮がスマホをスピーカーにした。道警本部刑事部長の阪下さかしただ、とややしわがれた声が捜査本部に広がった。『状況は逐一札幌の道警本部にも入っている……遠野警視、聞いているか?』 はい、と麻衣子は一歩
2025.08.29天祢涼
天祢涼 正義の味方1 仕事をする気があるのか? 貸し会議室に入ってきた藤峰晴ふじみねせいを見た瞬間、一条いちじよう直ちよくは顔をしかめそうになった。 豊満な胸を強調するために選んだとしか思えない、サイズの小さなブラウスとジャケット。長い脚を引き立てることが目的であろう、丈の短すぎるスカート。当人に告
2025.08.21内田博仁(うちだ・はくと)
2025.08.08
五十嵐貴久
第九回はこちら交渉人ハイジャック Flight 10 対立 1 時計の針が深夜〇時半を指した。パッセンジャーコールが鳴り、遠野さん、と聡美が囁いた。『犯人からメッセージが入りました……我々は機内でYouTubeを見ている。ユーチューバー連中が撮影を再開したようだな。NHKはもちろん、民放各局も生中
2025.07.25内田博仁(うちだ・はくと)
連載第1回 はじめに自己紹介僕は特別支援学校の高等部に通う17歳の高校2年生です。僕は2歳の時、知的障害を伴う重度自閉症と診断されました。「自閉症」という言葉を皆さんはご存じでしょうか? きっと一度ぐらいは、その言葉を耳にしたことはあると思います。「自閉症」とは、いまだに原因が解明されていない先天性
2025.07.11五十嵐貴久
第八回はこちら交渉人ハイジャック Flight9 ライト 1 桑山が大きく開けたドアから、麻衣子は捜査本部に入った。原と成宮、そして他の捜査官がパソコンの画面を食い入るように見つめている。 麻衣子も自分の席に戻り、マウスをクリックした。画面を拡大すると、BW996便の機内の一部が映っていた。「千丈
2025.06.27五十嵐貴久
第七回はこちら交渉人ハイジャック Flight8 セオリー1 なぜ切った、と聡美が戸惑ったような声でメッセージを読んだ。わたしは信頼できる相手としか交渉をしません、と麻衣子は答えた。「過去、わたしが知る限り、すべてのハイジャック犯は人質に固執し、解放に同意しませんでした。でも、あなたは違う。わたし
2025.05.30五十嵐貴久
第六回はこちら交渉人ハイジャック Flight7 手品1 時計の針が七時五十八分を指した。麻衣子はマイクを掴み、一ノ瀬さん、と呼びかけた。「わたしの声がスピーカーを通じ、機内に流れていますね?」 はい、と聡美が答えた。犯人に伝えます、と麻衣子は紙コップの水で唇を湿らせた。「一階の乗客二百四十人が機を
2025.04.25五十嵐貴久
第五回はこちら交渉人ハイジャック Flight6 プロファイリング1 午後六時二十五分、ターミナルビルからタラップ車が出てきた。乗っているのは四人の作業員だけだ。 空港三階の捜査本部から、道警広報部の白岩課長は固唾を飲んでBW996便の非常口を見つめた。ゆっくりと開いたドアを確認して、ハラコウさん
2025.03.28